住宅設計を依頼された施主（=クライアント=住まい手）と時間を共有することを重要に考えています。最初は面談、続いて設計中の打合せ、現場での施工確認などはもちろんですが、例えばショールーム視察をハシゴする際のタクシー車中の会話や、気になる建築を一緒に見に行く小旅行でのちょっとした時間など、時には通常業務上のやり取り以上に重要だったりするかもしれません。

写真は先週、山梨県北杜市に施主と一緒に敷地に行き、富士山の眺望確認をした時のものです。残念ながらこの日は雲が多く富士山は見えなかったのですが、以前に施主が脚立に乗って？撮影した写真（左）、今回、釣り竿にスマフォをくくりつけて撮影した同じアングルの写真（中）、それらから富士山位置を算定し、設計中の２階窓の位置、高さから見た眺め（右）。ということで、何とか見えることが分かったのでこの位置で計画を進めることになりました。

実を言うと、私は富士山眺望は諦めて、もう少し別の配置を提案していたのですが、施主は「遠藤さんに納得してもらいたかった」とポロリ。すみません、施主に気を使わせている…。でも、せっかく遠方まで出向いても雲が多くて落胆したり、釣り竿持って行ったり来たりで、何となく打ち解けた雰囲気でお話しいただけた感じだと思います。

因みに、右の写真は帰りに立ち寄った蕎麦屋の座敷で、ちょうどこの計画の2階のコーナー窓と類似した関係。「腰壁の高さがちょうどよい」ということで実測、（建築家はいつでもメジャーを持っています）設計を微調整することにしました。こういった偶然も時間を共有することで生まれる利点なんだな～と改めて感じた日でした。