「建築計画」という言葉をご存じですか?
wikipediaを引くと「人間の行動や心理に適した建物を計画するための研究とその応用」とありますが、建築デザインを扱う意匠学が、建築を作る人の視点で分析研究するのに対して、計画学は使う人の立場から建築を扱う学問です。
戦後焦土と化した国土を再建するにあたって、戦前の封建的な家制度を元とする住宅のあり方とは異なるモダンリビングを目指そうとしても、それにふさわしい寸法がわからない。
海外事例を当たっても、資材も土地も限られた日本では大きすぎて役に立たないし、日本における日本人のためのモダンリビングを一から作り上げる必要がある。
そうなったときに、吉武泰水先生を筆頭として、51C型と呼ばれる公営住宅を建設するために、徹底的に人の行動や感覚に基づく単位空間を大量にサンプリングし、歩いたり座ったりといった基本動作だけでなく、「だんらん」「調理」「入浴」「就寝」といった、今では普通の感覚となっている単位寸法の標準を決めました。もちろん暮らしが豊かになっていくにつれ、その標準寸法は微修正されていきましたが、今ある建築の寸法の基準は建築計画にあります。
先人が血のにじむような思いで、収集・分析した膨大なデータから、その標準を作ってくれたおかげであり、それらを採択或いは応用する事で、比較的短時間で設計を進めることができるわけです。
さて、ここで表題の猫の建築計画です。
今弊社で設計させていただいているのが、いわゆる猫リノベ。
中古一戸建てを人一人、猫四匹のためにリノベーションする計画です。
今回設計すべきは猫関係をほぐしつつ、猫も飼い主ものびのび暮らせる住宅です。
私も猫一匹と暮らしており、物心ついた頃から一貫しての猫大好き人間なので、大喜びで拝命し、こんな感じにしたい、ここは気をつけてほしいなどのお施主様の要望を楽しく伺い、いざ、線を引こうとしてはたとマウスが止まってしまいました。
いつもの住宅であれば無意識に設定できる数字が何一つ分からないのです。
猫トイレや猫ベッドの寸法くらいはわかるものの、
・猫同士がすれ違うのに必要な寸法
・猫が不自由なく行き来できるのに必要な空隙(平面立体とも)
・頑張れば届く、あるいはすり抜けられる、といった最大最小寸法
人間の寸法であれば空で言える、そういった単位寸法がわからないと、図面にならないことに気づいてからが大慌て。
去年今年と出版された建築知識の猫特集をはじめとした参考資料の読み込みと整理、そこに出てこない寸法はうちの猫をモデルとしての採寸測量。
そうやって通常に比べると膨大な手間をかけて、ようやくもうすぐ着工というところまでこぎつけましたが、きまぐれで好みの個体差が激しいお猫様のこと。ちゃんと使ってくれるかどうかは祈るばかりです。
子供の数よりペットの数の方が多いと報道されてから久しいですが、数もさることながら昔に比べてペットを家族として、QOLの高い生活を送って欲しいと願う飼い主様が増えているように思います。
今回は猫でしたが、では犬ではどうか。猫と違って体格差の大きな動物ですから、犬種によっても変わりそうだし、フクロウやウサギ、ハムスターではどうか。
動物園でも、檻に入れて見せるだけではなく、本来の環境や行動パターンに近づける行動展示が増えてきいますが、今後も人と共に暮らす動物の人権(動物権?)を尊重したいと思う人の数は増える一方かと思います。
私たち建築家も、「猫の建築計画」「犬の建築計画」を本気でまとめる必要があるのかもしれないなと思う経験でした。
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