暮らしに会いに
8か月経って「住み心地はどうですか？」建築家と建てた住まいを訪問
22mの濡れ縁と庭は家族とゲストのくつろぎの場
「自然と片付く」生活動線もゆとりの秘密- 豊橋市Fさんの家
- 設計：hm+architects 一級建築士事務所
- 撮影：花岡 慎一
シンボルツリーはギンヨウカエデ。濡れ縁まで張り出した長い庇はパッシブ効果をもたらし、「暑い夏でも冷房は一台、それほど使いませんでした」（奥様）
たくさんのゲストを迎えるパブリックゾーンと
家族のプライベートゾーンを分けつつ、
普通っぽくないもの、とお願いしました（ご主人 ）
アシメントリーな切妻屋根とそで壁のクールなガルバリウムに外壁の木肌、そして奥に垣間見える手入れの行き届いた庭。玄関ポーチに立った瞬間から高揚感が湧き立ちます。大きなドアを開けると再びガルバリウムと木、外と中が緩やかにつながる設計は、まるで家に包み込まれるような気持ちに。リビングに入れば大開ロの窓の先は庭、どこからも緑を楽しめるFさんの家の“パブリックゾーン”です。
将来のことを考えて平屋もよかったというご主人だが、「子供たちが大人になっても帰ってくる場所を作ろう」と２階に居室を設けた。
グリーンとインテリア小物を扱う会社を手掛けるご主人のゲストは「仕事関係で大人30人ぐらい」、ママ友が多い奥様は「先日も5家族集まって、子ども11人とママたちでかき氷しました」。天井が高く、壁の上部がオープンという設計に加え、“くの字”に曲げることで視界の変化も楽しめる、そして何より濡れ縁が家の中と外をつなぎ、のびやかな空間がゲストを長居させているようです。
窓はすべて開け放つことができる。家具・インテリア小物の一部はご主人の会社の商品。一部床暖房も取り入れ、大空間でも快適。
暮らして分かった「設計の良さ」。
家事、特に選択の時間は圧倒的に短くなったし、
子どもが自分一人で出来ることが増えました（奥様）。
仕事と子育てで忙しい奥様の要望「時短」を実現したのは“動線上に収納を集約する”設計。1つは玄関からつながるパントリー、もう1つは寝室と衣装スペースが隣接し回遊できる水回り。「リビングが散らかったままということもないし、子どもたちが洗濯物を自分で片づけてくれるので楽になりました」（奥様）。また、お子さんたちがテレビを見なくなったのもうれしい変化と言います。「家の中をぐるぐる、そのまま庭で遊んでいます」。ご主人は「夜、ソファに座ってライトアップした庭を見るのが好きですね」。これから手を入れるなら？「パントリーを工夫していきたい」（奥様）、ご主人は？「庭ですね。家は住みながらカスタマイズするものだと思っているから。この先も楽しみですよ」。
「自由研究もここでやったの」（お嬢さん）。手前の収納は子どもの手が届く高さで「お皿を準備したり、よくお手伝いしてくれます」（奥様）。
Editor's Eye
ゲストルームにもなるモダンな和室と「黄金比」
キッチン横の和室は、障子を開ければパブリックゾーンの一部、閉めればゲストルームに。建具の美しいデザインだけでなく、鴨居から上部を開けたことでリビングから天井がつながり、空間の連続性が住まいの広さとゆとりを生んでいる。「和のテイストもありつつ、モダン、落ち着いた大人の空間」のコンセプトは細部まで貫かれ「密かに建具の割付で黄金比を用いています」（伊原さん）。障子は破れにくく手入れしやすいワーロン紙を採用し、お子さんへの配慮も。
ギャラリー
間取り図
家づくりの流れ
- 2016年4月
- 土地購入
- 2017年3月
- 伊原さんに土地を見てもらう
- 2017年12月
- 伊原さんと契約
- 2018年9月
- 着工
- 2019年3月
- 竣工
お住まいのDATA
所在地：愛知県豊橋市
家族構成：ご夫婦＋子ども3人
敷地面積： 742.56m2（224.62坪）
建築面積：176.57m2（53.41坪）
延床面積： 176.52m2（53.39坪）
工法構造：木造軸組工法
竣工年月：2019年3月
家族構成：ご夫婦＋子ども3人
敷地面積： 742.56m2（224.62坪）
建築面積：176.57m2（53.41坪）
延床面積： 176.52m2（53.39坪）
工法構造：木造軸組工法
竣工年月：2019年3月
取材後記
写真左から伊原さん、Fさんファミリー
今回、竣工後8ケ月ほどの様子を取材させていただきました。インタビュー中もお子さんたちは家の中も外も自由に駆け回ってみ んな楽しそうでした。設計時「こんな風に使ってくれたらいいなあ」と想像していた場面を実際に目にするようです。またご主人のお仕事仲間や奥様のお友達、とにかく人が自然と集まって長居してしまうという、ご夫妻のお人柄が伝わってくるようなエピ ソードもお聞きし、もうすっかりこの家にも慣れ、住みこなされていることに感心してしまいました。Fさんらしさに寄り添うような良い設計でのサポートが出来たのかなという安堵感もあり、楽しく嬉しいひと時となりました。これからもたくさんの時を重ね、ご家族や庭の木々の成長を見守り続ける家になってくれると思います。ご家族お揃いでのご協力どうもありがとうございました！
