「モールテックス」というユニークな左官材があります。その特徴はどんな部位にも塗れ（壁や天井はもちろん建具や床にも）、下地を選ばず、水や火にも強く、クラックが生じないので目地なども不要なこと。こうしたマルチな性能を保持しつつ、色や左官の風合いもほぼ自由なので、非常に便利な仕上げ材なのですが、、、ただし唯一の欠点、それはお値段が高いこと…。

よって、当これまでは事務所では、壁の一部や暖炉周りの造作部など、アクセント的に使う事例がほとんどでしたが、この度竣工したばかりのこの住宅では、モールテックスを玄関廻りやリビングに、大々的に使用しました。施主の求める仕上げの表情、床・壁・階段もシームレスに仕上げること、耐久性も重要で一部は床暖房にも対応し得るといった条件から、絞り込んでいったら、モールテックスだけが残ったという感じです。今回は更に、2色使いで（下塗り濃いグレー、上塗り薄いグレー）表面をグラインダーで削って、独特な色ムラ感を出すという特別仕様。職人さんも大変苦労されていましたが（非常に根気のいる作業…ありがとうございます！）その甲斐あって、かなりダイナミックな雰囲気になったのでは無いかと思いますが、いかがでしょうか。

話は変わりますが、田都会賛助会の「KS AG」こちらの「ソイルペイントHiLaRi」は、モールテックスに劣らず、味わい深い表情、多彩な色彩など、よりコスパもよく？仕上げることができるようです。（ただし「床」は難しいようですが…）現在、施工がはじまった別の案件でも、壁の一部にモールテックスのような仕上げを施主は求められていましたが、その条件にはソイルペイントHiLaRi が合致しそうですので、こちらの採用を検討したいと思っています。